大久保清美 一般質問 質問項目
1.東海第二原発再稼働問題について
(1)避難計画について
1.東海村の山田村長が雑誌対談の中で,UPZの人たちには避難に際し,十分な時間があるかのような発言をしているが,この点についてひたちなか市の認識を問う。
2.郵送による避難に関するアンケート調査の結果はまとまっているのか。いつ公表する
のか。
(2)被害想定について
1.JCO臨界事故(レベル4)時にひたちなか市が被った被害を基に,東海第二原発が同程
度の事故を起こした場合,農業・畜産業・水産業・観光業等に及ぼす被害はどれほどになるか。
(3)損害賠償について
1.東海第二原発が事故を起こした場合,それに付随して生ずる行政負担(放射能検査や
人件費等)の賠償を求める契約を日本原電との間で結んでおくべきと考えるが,如何か。
2.災害対応について
(1)避難所について
1.ペットを連れて行ける避難所も必要と思われるが,市の対応はどうか。
3.新図書館について
(1)ひたちなか市らしい資料・情報の提供について
1.干しいもと原発関連の資料の充実を希望するが,如何か。
ひたちなか市議会12月定例会(一般質問)報告【概要】
先日来日したローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は記者会見で、原子力発電について「安全が保障されない限り、核エネルギーは使うべきではない」とお述べになった。また、折しもスペインのマドリードで国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)が開催中だったが、気候変動に対応するため、ほとんどの先進国が再生可能エネルギーにシフトしている中、日本政府は相変わらず、あれだけの事故を起こした原発に拘泥し、再生可能エネルギーの発展を妨げ、また石炭火力発電を増やすなど、完全に世界の潮流に逆行していることを先ず指摘し、質問に入った。
1.東海第二原発再稼働問題について
(1)実効性のある避難計画について
東海村の山田村長が雑誌対談の中で、「段階的避難」は可能であり、UPZの人たちには避難に際し十分な時間があるかのような発言をしているが、この点について、ひたちなか市の認識を問う。
●市民生活部長の回答
「段階的避難」については、PAZ圏(原発から半径5km以内)の避難が始まれば、UPZ圏(半径30km以内)も自主的に避難すると想定している。しかし、一緒に避難すると、交通渋滞等で屋外滞在時間が長くなり、かえって被曝する。円滑な避難のため、UPZ圏は先ずは屋内退避し、段階的に避難することが有効である、と市民に理解していただく必要がある。
時間的余裕があるかどうかについては、市だけでは解決できない広域的な課題であり、茨城県では、避難時間シミュレーションや、放射性物質放出までの時間や拡散のシミュレーションを実施し、検証を行うと伺っている。本市としては、引き続き県や内閣府と連携しながら、実効性のある広域避難計画策定に取り組んで行く。
屋内退避をしても、被曝量は10%程度しか軽減できないといわれている。そうであれば、「段階的避難」は机上の空論にすぎない。
(2)アンケート結果について
6月に実施した、東海第二原発で重大事故が起きた際の避難方法を聞く住民アンケートの調査結果はもう纏まっているのか。市の広域避難計画に活用するとのことだが、アンケート結果それ自体の公表はしないのか。
●市民生活部長の回答
避難計画策定に当たり、課題となっているバスの必要台数、実際の避難人数等の基礎データを作成することを目的に実施した。PAZ圏の要支援者のデータを含むので、結果公表は今後検討する。結果を基に避難先自治体と受け入れ協議を進める。
日立市は同様のアンケートを実施し公表している。アンケート結果を知りたい市民も多くいるので、要支援者のプライバシーに配慮した上で公表すべき。
(3)被害想定について
JCO臨界事故(レベル4)時にひたちなか市が被った被害を基に、東海第二原発が同程度(レベル4)の事故を起こした場合、農業・畜産業・水産業・観光業等に及ぼす被害額は風評被害を含めてどれほどになるか。また、その場合、家畜等は殺処分するのか。
●経済環境部長の回答
JCO臨界事故時の本市のみの被害額は算出していないが、茨城県全体では、商工業96億円、農畜水産業25億円、観光関連15億円、その他を含め約153億円だった。東海第二原発がレベル4程度の事故を起こした場合、甚大な被害が想定されるが、単純比較は困難なことから、被害額算出はできない。また、家畜等については、放射能測定をし、基準値を超えていれば、殺処分せざるを得ない。
東海第二原発が福島第一原発と同レベル(レベル7)の事故を起こした場合、本市はほぼ全域が帰還困難区域に入り、もはや市民生活は営めない。なんとか帰還できるレベル(レベル4)の事故であっても、JCO臨界事故で放出された量とは比較にならないほど大量の放射性物質が環境中に放出されるので、その被害は甚大なものになる。
2.ペットを連れて行ける避難所について
気候変動や地震等、災害時の避難所に関し、ペットと一緒に避難を希望する人が増えている。動物アレルギー等の問題もあるが、ペットを連れて行ける避難所の確保が必要と考える。本市の対応を問う。
●市民生活部長の回答
本市が開設する指定避難所では、飼い主と共に避難してきたペットの受け入れを行っている。その際リードやゲージなどを用いて、避難所の軒先など屋外スペースで管理することに了承いただいている。しかし、ペットの受け入れについては、動物アレルギーや鳴き声などにより健康問題や避難者同士のトラブルが想定され、課題が多い。避難が長期化するときの対応は、今後検討して行く。
3.新中央図書館における「ひたちなか市らしい資料・情報の提供」について
新中央図書館を整備するにあたり、本市の名産品である「ほしいも」関連の資料コーナーを新設すべきと考える。また、原子力関連の書籍・資料等についても、肯定的なもの否定的なもの取り混ぜてコーナーを作り、市民の意識向上を図るべきと考えるが、如何か。
●教育次長の回答
ほしいも関連の書籍・資料等はこれまでのところ少ないので、現在、積極的に収集しているところである。今後、市内外に効果的に発信できるよう取り組みたい。
図書館には、多様で対立する意見のある資料を幅広く収集する役割がある。現在、「東日本大震災周年メモリアル」として震災特集コーナーを設けている。新図書館においても、原子力関連コーナーを設置し、市民に情報提供を行っていく。
大久保清美 議会報告 第1号(2020.1月発行)PDF
定例会ごとに議会報告を発行しています。ダウンロードしてご覧ください。