12月議会定例会(2020)

大久保清美 一般質問 質問項目

1.東海第二原発の再稼働に係るこの間の動きについて
(1)11月4日の原子力所在地域首長懇談会の協議内容について

2.広域避難計画について

ひたちなか市議会12月定例会(一般質問)報告

1.東海第二原発の再稼働に係るこの間の動きについて
(1)11月4日の原子力所在地域首長懇談会の協議内容について

最近、東海第二原発の再稼働を巡る動きが活発になってきました。その主なものを挙げると、当事者である日本原電は11月中に、東海第二原発から30km圏内の14市町村及び小美玉市の住民を対象に計17回の「状況説明会」を開催しました。茨城県は11月7日に、東海第二原発に関する県の取り組みを発信する広報紙『原子力広報いばらき』第1号を全県新聞折り込みで配布しました。今後年2回の継続発行を行う予定です。11月21日には那珂市議会原子力安全対策常任委員会主催の「市民の意見を聞く会」が開催されました。東海村では12月19日に「自分ごと化会議」の第1回目の会合が開かれました。

ところで、このような動きと連動しているのかどうか分かりませんが、11月4日に今年度第1回目の「原子力所在地域首長懇談会」が開かれました。そこでは東海第二原発視察の必要性や複合災害時の広域避難計画策定の困難さ、そして新安全協定における「協議会」運営のための準備などについて話し合われたとのことです。しかし、「協議会」についてはこれまで、それが「合意形成を図るための協議会」であることから、首長懇談会としては時期尚早とみなしていたはずです。ここにきて急に風向きが変わったのはなぜでしょうか。情報公開の意味も含め、その協議内容の詳細を質問しました。

●大谷市長の答弁

去る11月4日に開催した原子力所在地域首長懇談会につきましては、日本原電による2022年12月の工事完了を目指した安全性向上対策工事、また、11月以降に地域住民への状況説明会が予定されていた中で、懇談会としての今後の対応について6首長の間で意見交換をするため開催したものであります。

本懇談会における意見交換においては、今後新安全協定に基づく対応をしていくに当たり、東海第2原発の安全性向上対策工事の状況を現地確認していく必要があるとの認識で一致したところであります。その視察に当たりましては、日本原電が示している工事スケジュールに関係なく定例的に視察を行うことや、その時期について、今後6市村で協議を行うこととしたところであります。

また、新安全協定の運用につきましても意見交換を行いました。令和2年9月定例市議会においてもご答弁申し上げたとおり、協定締結により効力自体は発動しているものの、これまで日本原電からは新安全協定に基づく事前説明はなく、第2条の運用には至っていない状況にあります。

今後の進め方につきましては、日本原電から新安全協定に基づく事前説明があった場合においても、日本原電のペースに左右されることなく、私ども懇談会が主導権を持って一連のプロセスに対応していくことを確認いたしました。そのため、あらかじめ新安全協定に基づく協議会の運用方法等について検討を進めることとしたところであります。

その他、広域避難計画の策定におきましては、他市村においても、避難先自治体との調整や複合災害を想定した対応など、実効性の確保にはたいへん苦慮をしており、その状況についても情報共有を図ったところであります。本市といたしましては、引き続き原子力所在地域首長懇談会の構成自治体と連携のもと、新安全協定に基づき、適正な対応を図ってまいりたいと考えております。

私の意見
私の意見

・原電の「状況説明会」では参加住民の質問に正面から答えないことが多く、原電の言う「丁寧な説明」からは程遠いものと感じました。

・東海村の「自分ごと化会議」は東海第二原発再稼働への賛否を結論付けないことが大前提です。アリバイ作りに利用されないよう、今後の成り行きに注視したいと思います。

・那珂市議会原子力安全対策常任委員会主催の公聴会では、議長・委員長をはじめ多くの議員が市民の声に真摯に耳を傾ける姿に感心いたしました。ひたちなか市議会でも一日も早く東海第二原発再稼働に係る特別委員会が設置できるよう、引き続き努力いたします。

・首長懇談会が新安全協定に基づく「協議会」の準備を始めたことは歓迎いたします。ただし、「合意形成を図る」ことにとらわれず、十分に論議を尽くす「協議会」にしていただきたいと思います。

2.広域避難計画について

県や市町村の避難計画の基本になっているのは、福島事故後の2012年10月に原子力規制庁が制定した「原子力災害対策指針」です。ところで、この「指針」には2014年に方針転換があり、「できるだけ住民を逃がさない」という施策に転換しました。すなわち、2015年4月の指針改訂以降は、全面緊急事態に至った場合、UPZ(原子力施設から5km ~ 30km圏内)の住民は屋内退避を原則とし、緊急時モニタリングにより区域を特定して移動することになったのです。

この方針転換の真の背景は公開されていませんが、先ず2012年に30kmの数字を決めた後に、各原発について避難時間シミュレーションの結果が順次提示されたところで、30km圏の住民の迅速な避難は不可能という結果が露呈したため、UPZは屋内退避を原則とせざるを得なくなったものと推定されています。そして、それに合わせるように、つまりUPZが屋内退避でよいとするために、試算にあたり、放射性物質の放出量を福島原発事故の約100分の1(セシウムとして)に引き下げたのです。

しかし、それでは福島レベルの事故が再び起こったらどうなるのでしょうか。逆説的ですが、屋内退避は不可能と「指針」が認めていることになるのではないでしょうか。常に最悪の事態を想定すべきリスク管理の観点からすれば、この「できるだけ住民を逃がさない」という国の避難政策は初めから破綻しているように思えます。

また実際、「全面緊急事態」が発令されたとして、UPZあるいはそれより外に住んでいる住民が、PAZ(原子力施設から5km圏内)の住民等が自家用車・バス等を連ねて一斉に脱出してくるのを目撃したとき、「原発により近い人を先に逃がすためだから自分は被ばくしても仕方ない」として屋内退避を続けることは現実問題として可能でしょうか。しかも、大規模な自然災害に起因して原子力緊急事態が発生しているとすれば、電気や水道等のライフラインは途絶しているでしょう。UPZ圏外からの救援も困難な状況の下で屋内退避を続けるように求めることは現実的ではありません。

以上、国の「原子力災害対策指針」の根本的な問題点を指摘しましたが、避難に関しては、そもそも現実的でないことばかりです。避難の入口時点での問題点をあと二つ指摘しておきます。

1.自動車は動かない

東海第二30km圏内の道路総延長は片側2車線道路が374km、1車線が2,241kmです。避難であっても上下車線を両方占有するわけにはいきません。内閣府の解説にあるとおり、燃料や緊急物資の搬送、事故終息や道路復旧のための作業車、その他緊急自動車のために片方向は開ける必要があります。そのような条件の下、避難に利用可能と思われる主な道路に、交差点・勾配・曲線など通行の抵抗になる要素は無視して単純に30km圏内のすべての自動車約30万台を並べただけで、交通密度は1kmあたり約100台となり、ほとんど車列が動かない状態になると考えられます。なお一般的にも、1km・1車線あたり100台を超えると車両はほとんど動かなくなるとされています。

2.避難退域時検査(スクリーニング)には膨大な時間がかかる

内閣府避難時間推計ガイダンスによれば、退域検査所における処理能力は乗用車の場合、1台あたり3分と想定しています。また、現在県が予定している検査場所はメイン22カ所、サブ13カ所の合計35カ所です。一つの検査所に検査レーンを3レーン設けるとし、仮に30km圏内のすべての自動車約30万台がスクリーニングを受けるとすると、スクリーニング終了までに約143時間、日数にすると約6日間というまったく非現実的な時間を要することになります。なお、この計算には検査所への進入・退出時間等は含まれていません。検査所出入口付近の渋滞を考慮すれば、そもそも1台3分で済むはずがありません。そうすれば、もっと多くの時間がかかるでしょう。その分、被ばく線量が増えていきます。

この他に、渋滞に伴う燃料切れ、地震や津波に起因する複合災害時の道路や橋梁の通行止め等、
自動車による避難には課題山積です。

それにもかかわらず避難計画策定を強いられる市当局の御苦労は察するに余りありますが、市民への情報公開の観点から、避難計画策定の現状と問題点について質問しました。

●渡辺副市長の答弁

広域避難計画の策定におきましては、自力で避難できない災害弱者への支援、移動手段の確保、地震などの複合災害をはじめとする様々な事象への対応、新型コロナウイルスなどの感染症流行下での対応など、実効性のある計画とするためには検討すべき課題が山積しております。

さらに、当地域のUPZ圏内には約94万人もの方が生活しており、広域避難計画として求められる対策のレベル、困難さは、他の原発立地地域と比較してもその策定には大きな困難があるものと考えております。このことは計画を策定する市町村共通の課題であり、市町村それぞれでは解決ができない広域的な課題でもありますので、避難計画勉強会等において、国・県と課題を共有し検討を進めているところであります。

去る10月19日に開催されました直近の広域避難計画勉強会につきましては、バス等の配車に係る課題解決に向けて、県が昨年度から取り組んでおりますバス等配車オペレーションシステムの開発について、情報を共有したところであります。また、県が『原子力広報いばらき』を11月上旬に発行するに当たり、事前にその内容である避難退域時検査場所一覧について、変更点の情報提供や、問い合わせ等があった場合の協力依頼があったところです。

本市といたしましては、実効性のある広域避難計画とするためには、山積している課題の一つ一つに対してしっかりと対策、対応を考え、検証していくことが必要であると考えております。

そして、市民の皆様が計画を理解した上で適正な避難行動を取れる、そういった形のものでないと実効性がある計画とはいえないと認識しております。このため、まずは広域避難計画の基本方針について、しっかりと市民の皆様に情報提供をし、多くの方に理解していただくことが重要であると考えております。本市の広域避難計画につきましては、平成28年度、平成30年度と、これまで2回の住民説明会を開催し、市民の皆様に計画の基本方針を説明してまいりました。

本市といたしましては、今後も広域避難計画の基本方針をより多くの市民に理解していただけるよう、周知に努めてまいります。引き続き関係市町村、国や県と連携を密にし、情報共有を図りながら、市民の安全確保を最優先として、実効性のある広域避難計画の策定に努めて参ります。

私の意見
私の意見

先にも述べたとおり、国はUPZからの迅速な避難はできないと認識しています。だから
こそ「屋内退避」を言い出したわけです。住民の被ばく線量を操作してでも屋内退避を基本とした避難計画を成り立たせようとしています。本当にこれでいいのでしょうか。

大久保清美 議会報告 第5号(2021.1月発行)PDF

定例会ごとに議会報告を発行しています。ダウンロードしてご覧ください。


令和2年12月10日 一般質問 大久保清美